「果物で太る」は思い込み?
ダイエットを始めたいけど、どうすればいいか分からないあなたに、
今直ぐにでも始めたくなる情報をお届けします。
Hang out 代表の福田です。
お歳暮を贈る季節になってきました。
子供の頃は、ハムやコーヒーが来ても全然嬉しくありませんでした。
酒類やサラダ油、洗剤が来た日にはがっかりです。
最近のお歳暮のラインナップを見ると昔に比べて
目移りするほど欲しくなるような商品が揃っていますね。
今となっては送る先が年々少なくなっているので、
楽になった反面、ある種の寂しさがある今日この頃です。
さて、先日の日経新聞にこのような記事が載っていました。
忘年会、あってもなくても太らない 「肥満」を防ぐ11選
11選という位ですから、11個のコツが掲載されていました。
その中のコツをいくつかピックアップすると、
などです。
その中で注目したのが、
果たして、そうなのでしょうか?
今回のブログは『「果物で太る」は思い込み?』を
少し深堀していきたいと思います。
【目次】
① 果物の正体
② 果物はいくら食べても良い?
③ 果物に含まれる栄養素
④ 果物のメリット
⑤ 結局果物で太る?太らない?
⑥ まとめ
① 果物の正体
以前にも当ブログで、果物は炭水化物の一部である
糖質が含まれることは、ご紹介したと思います。
一言で糖質と言っても種類があります。
多糖類(消化性多糖類・難消化性多糖類)
二糖類(ショ糖・麦芽糖・乳糖)
単糖類(ブドウ糖・果糖・ガラクトース)
最後の単糖類は、もうこれ以上分解されない糖類を指します。
果物に多く含まれている物質が、単糖類の果糖です。
果糖は、フルクトースとも言います。
ちなみに砂糖は、ショ糖といいます。
ショ糖はブドウ糖と果糖が結合したものになります。
果糖は、自然界に広く存在しています。
昔から人間にとって馴染み深い糖類ということになります。
同じ単糖類であるブドウ糖と比較した場合、
ブドウ糖に比べて果糖の吸収スピードは遅いと言われています。
その為、血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。
ところが、体内に入った果糖は門脈を経由し肝臓に運ばれます。
酵素によって変化し、ブドウ糖よりも早く体内で使われます。
この辺の部分を整理しないとゴチャゴャになりそうです。
恐らく、果物が良い悪いもこの点が整理されていない場合が
多いように感じます。
吸収は遅いが、真っ先に使われると覚えてください。
② 果物はいくら食べても良い?
果物を食べるメリットを挙げると枚挙にいとまがありません。
〇ビタミンが豊富
〇ミネラルが豊富
〇食物繊維が豊富
〇ファイトケミカル含有(ポリフェノールやカロテノイドなど)
〇生活習慣病予防
〇目覚めが良くなる
〇ダイエット効果
〇ストレス解消
などなど、ほんの一例ですがご覧ください。
Google先生に聞けば、まだ色々教えて貰えるかもしれません。
これだけメリットがあれば食べない訳にはいかないとなります。
食べれば食べるほど健康になるような気がするのは私だけでは
ないと思います。
果物を食べることは健康に繋がりますが、多くの方の疑問として
どれくらい食べていいのだろうかと悩んだりしませんか?
昔の日本の冬と言えば、コタツにミカンが思い浮かびます。
特に子供の頃は、自宅でお菓子を食べる習慣などなかった
家庭で育ったので食べることができるものと言えば果物でした。
ミカンは大抵、買うこともありましたがお歳暮や田舎から送って
貰ったミカンを食べていました。
皆さんの子供の頃はどうだったでしょうか?
私個人としては、そこまでミカンが好きではなかったので、
食べてもミカン2~3個だったと記憶しています。
突然関係ない話ではありますが疑問が沸いたので、
柑皮症はどれくらいでなる可能性があるのか調べてみました。
(※柑皮症とは柑橘類などに多く含まれるβ-カロテンを過剰摂取した
際に手足が黄色になる状態を言います)
どうやら1日に30㎎以上のβ-カロテン摂取若しくは
血中のβ-カロテンが4.0㎎/l以上の濃度になったとき
柑皮症が生じるとされています。
計算してみました。
温州ミカン1個の過食部分は約75g。
β-カロテンは1個あたり、825µg。
おおよそ36個~37個分のミカンを1日に摂取しないと
この量には到達しません。
1回の食事のデザート後にミカンを12個食べる計算です。
食後にそんなに食べれません。
仮に果物の1日の目安の200gに換算するとミカンでは
残念ながら1日に3個未満ということになります。
さて、本題に戻ります。
実は1日に摂取していい果糖量の目安があります。
1日あたりの果物の摂取量は可食部(食べることのできる部分)
が200g程度です。
この量を果糖に換算すると10数gになります。
健康には害がないレベルですともう少し食べることが
出来るのですが、多くの文献では200gを推奨しています。
1日に食べることが出来る果物の量は多くの皆さんが
想像しているほど、多くはないのです。
健康効果の高い果物なので、食べるほど良いイメージが
ありますが、あくまでも先入観や固定観念です。
たまに、クライアントの方でダイエットの目的の方の
食事をリサーチしてみると果物ばかり食べているという方が
散見されます。
好きに食べることが出来ないので、せめてもの救いとして
果物をたくさん食べて、気持ちを落ち着かせる役目なのでしょう。
それでも痩せたい気持ちの表れだと思います。
果物は健康に良いし、食物繊維も豊富で低カロリーと
「太る要素がない」と思い込んでしまっています。
残念ながら、
1日の目安量や果糖の過剰摂取の害を説明すると、
かなりショッキングな内容なのか多くの方が肩を
落としてしまいます。
トレーナーとしては、中々複雑な心境にさせられる瞬間です。
このようにメリットだけをあげると、あたかも食べる分だけ
健康になりそうですが、そうではありません。
何事もバランスが重要です。
一つのカテゴリーに属する食品を多量に摂取することは
果物に限らず全ての食品に言えることです。
メリットも過ぎればデメリットになることを知りましょう。
③ 果物に含まれる栄養素
果物に含まれる栄養素と言えば、ビタミン類が挙げられます。
他にも食物繊維やミネラルなどが思い浮かぶと思います。
栄養素以外の重要な物質としては、
ファイトケミカル(ポリフェノール・カロテノイドなど)や
有機酸(クエン酸など)が含まれています。
特にファイトケミカルは、植物由来の物質で「苦み」や「渋み」、
「色素」などです。
これらは外敵から植物自体の身を守る為に獲得した自己防衛
システムです。
期待される効果は
高い抗酸化力
にあります。
解り易く言うと、健康に良いということですね。
だからと言って、食べ過ぎには注意してください。
昔からビタミン豊富な果物というイメージですが、
意外と果物にはそれほど多くのビタミン類は含まれていない事は
余り知られていない事実です。
子供の頃、「ビタミンCが摂れるからミカン食べなさい」と
母親から言われた経験がある方は少なくないのではないでしょうか?
私もその口です。
では、ビタミンCを例に挙げて実際の含有量を見てみましょう。
温州ミカンのビタミンCはどれくらい含まれているのでしょうか?
実は温州ミカンの含有量は、100g(可食部)で35mgです。
ミカン1個75gですので、1個あたりに換算すると26mgです。
これが多いか少ないか他の果物と比較してみましょう。
(100gの可食部で表示) 1個の可食部(1食分)
アセロラ 1700mg 不明
柿 70mg 1個200gで140mg
キウイフルーツ 69mg 1個100gで69mg
イチゴ(中粒) 62mg 7個で90g 56mg
レモン 50mg 1個160gで80mg
ざっとこんな感じです。
温州ミカンのビタミンCは、意外なほど少ないと思いませんか?
ビタミンCの1日推奨量は、男女共に100mgですから、
1日1回果物を適量取るのがベストだということがわかります。
また、話は脱線しますが、
ビタミンCを食品から摂った場合とサプリメントから摂った場合の
吸収率はどれくらい違うと思いますか?
私が栄養士の資格の勉強をしていた時分は、圧倒的に食品から
という見解やデータが多かったです。
実は、食品もサプリメントも吸収率に差はありません。
サプリメントを毛嫌いしている方を見かけることがありますが
最早時代遅れです。
足りないと思ったら、サプリメントを賢く活用した方が
ベターですね。
本題に戻ります。
通常、私たちが食品の各栄養素がどれくらい含まれているのか
調べる際に、食品成分表という分厚い本を用います。
この食品成分表は一見、100gに換算されて表記されるので
食品間での各栄養素の数値の比較が容易にできます。
ところがこの食品成分表からでは、実際の生活に即した
評価がしにくくなっています。
何故なら、100g単位でないと比較ができないからです。
実際に料理に使用する食材のうち、果物は比較てき簡単に重量を
計ることは可能ですが、皮などの食べることのできない部分は
重量から除外する必要があります。
また、イチゴやブドウなどの粒ものも数個で100gなので
意外と面倒です。(それを簡単に検索することは可能です)
例えば、アセロラみたいな果物は特殊です。
一見、100gでビタミンCが1700mg摂れるからと
アセロラを買いに行けばいいと思うかもしれませんが、
残念ながら、それは無理な話です。
アセロラ農家さんのお近くに住まわれている方は別ですが、
アセロラは傷みやすく、スーパーに流通することはありません。
よって、希少価値も高く、価格も高いです。
一般的にはアセロラドリンクしか見つけることができません。
また野菜などの根菜類は100gを使用することは難しく
ないのですが、大根・カブの葉っぱ、大葉、春菊など
栄養素がかなり含まれる葉もの野菜は重量が軽いので、
到底、100gに到達しませんので計算する必要が出てきます。
このように食品成分表は実際の料理の量とは現実的に乖離が
あるものが食品によってはありますので注意が必要です。
今回、当ブログでは、ビタミンCを例に挙げてみました。
その他のビタミン類も果物の種類によってバラつきは
あるものの、それほど含有量は多くはありません。
しかし、栄養素以外の重要な物質が多く含まれることから
果物から栄養素及び重要物質(ファイトケミカルなど)を
摂取することは大切です。
今回、良い機会なので
『ホールフード』
という考え方も紹介しておきます。
直訳すると、丸ごと食べましょうということです。
つまり、缶詰など加工されたものやカット済みのものでなく、
丸ごとです。
特に、野菜などは捨ててしまう部分にかなりの栄養素が
含まれています。
これらのフードロスを削減することや環境などの問題も含めて
ホールフードという考え方ですので、頭の片隅にでも宜しければ
留めていただければ幸いです。
④ 果物のメリット
果物を食べることで得られるメリットは前述しているように
非常に大きいです。
注意していただきたいのが、カラダに良いという食品は
食べたから即どうなる、健康になるというものではありません。
サプリメントが良い例です。
特にビタミンB群やCなどは摂ったから取り立ててどうなる
ものではありません。
よくサプリメントに関する質問として、
「〇〇〇を飲んでいますが、どうですか?」
「〇〇〇はカラダに良いんでしょ?」
といったものを受けます。
私の回答はこうです。
「〇ル〇サ〇ンや〇ン〇ロ〇チ〇のCMの見過ぎですよ!!」
「サプリメントは飲んだからどうなるものでもありません」
兎角、ビタミン・ミネラル類を飲んだらカラダが健康になると
思っている方がいらっしゃいますが、カラダに必要なものなので
カラダにとってなくてならない存在です。
飲んで変化が起こるというものではありません。
果物をはじめとする食品も同じです。
上記でメリットを記載しましたが、果物を食べたから
メリットを享受できるという直接的なものではありません。
例えば、果物を1日200g摂って、その他を白米などから
糖質を摂り過ぎてしまったら、果物の摂取するメリットは
目減りします。
ジャンクフード、お菓子、清涼飲料水などカラダにあまり
好ましくない糖質(異性化糖)の摂取は寧ろマイナスです。
逆を言えば、白米などから摂取する糖質をコントロールすれば
好きな果物の摂取量を増やすことも可能です。
結局、大切なことは果物以外の食品とのバランスが大事なのです。
加えて、ジャンクフード・お菓子の食べ過ぎ、清涼飲料水の飲み過ぎは、
果物の1日の上限(200g)を超えるよりも、遥かにカラダに
害であることは、周知のとおりです。
果物のメリットを最大限活かすには、いつものごとく食生活です。
日々の食生活から摂取する糖質の質を選択することが肝要です。
果物のパワーは物凄いと思います。
それを生かすも殺すも、その他の食品の選び方次第
ということになります。
特に選んで食べたい糖質を含む食品は、
雑穀類(豆類含む)・ナッツ類・野菜・キノコ類・海藻類
です。
これらに果物が加わって1日の推奨量として200gという
数字になっています。
果物という食品のみのカテゴリーにこだわらず、バランス良く
日々の食生活を見直すことが果物のメリットを活かすコツですね。
⑤ 結局果物で太る?太らない?
結論からすると、果物だけで判断できないという当たり前の答えに
なります。
昔、有名なファストフード店の商品を食べ続けたらどうなるか?
というドキュメンタリー映画を覚えてらっしゃいますか?
監督自ら人体実験を実践し1日3食ファストフードの商品を
食べ続けるというあらすじです。
そもそも、その因果関係を全てファストフードに押し付けるのは、
かなり無理があります。
例えば、野菜だけとか果物だけで食生活を送るというのも同様、
太る太らない以前に、健康を害することは明らかです。
こう考えると、「〇〇〇ダイエット」「〇〇式ダイエット」
「〇〇〇〇だけダイエット」などの一つの食品名が入ったダイエット法は
理に適っていないとうのが明確に理解できます。
一つの食品を例に挙げて、
『太る&太らない』『健康&不健康』『カラダに良い&悪い』
という議論は不毛です。
今回の果物で言えば、果物と云えども食べ過ぎれば太ります。
その他の糖質の種類や摂取量などから果物自体の量が適量だとしも
結果的に太ることも十分考えられます。
また、果物自体の摂取量が多ければ、果糖の摂り過ぎに繋がり、
こちらは健康に影響を及ぼします。
過ぎたるは何とかで、適度な量とバランスを心掛けましょう。
果物は、摂取量が過ぎれば太ります。
果物は、過剰な果糖の摂取で健康を害します。
果物で太らず、生活習慣病の予防をするなら糖質全体の量を
コントロールすることが大切です。
そうすれば、必然的に果糖のコントロールも自然と可能となります。
⑥ まとめ
如何だったでしょうか。
果物で太る&太らないという議論のスタートがズレているのが、
ご理解いただけたのではないでしょうか。
私たちのカラダが脂肪を溜め込むシステムは、昔も今も変わりません。
そうなんです。食べ過ぎなんです。
果物だから良いとか、野菜だから良いとか健康になるから良いとか
そういうことが正に
『思い込み』
なんです。
いつもながらに
摂取カロリー = 消費カロリー
の均衡が崩れない限り、私たちのカラダは太る事が出来ません。
太るためには、この方程式を不均衡にすることです。
痩せることも、同じです。
太ると痩せるは紙一重です。
現代人にとっては、果物の摂取量を気にするよりも、
お菓子や清涼飲料水の摂取を気にした方が、太るだとか
生活習慣病予防だとかには、近道だと思います。
本来であれば、そちらの量をゼロにする習慣が先決ですよね。
Hang outでは、
皆様の筋肉の成長と健康的な食生活を応援しています。
最後に健康で痛みのない状態でトレーニングできる時間は実に限られています。
特に40歳過ぎたトレーニーには切実な問題です。
限られた時間を有効活用するためにも、指導を仰ぐことをおススメします。
人生の最幸の出会いに感謝したいと思います。
栄養とトレーニングに投資することは、リスク(病気や怪我)回避と健康への第一歩です。
気長に付き合っていきましょう!!
2022.11.29 Tue